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「SIMフリースマートフォン」とは何か

ネットの様々なニュース媒体やブログを見ていると、「SIMフリースマートフォン」について誤解をまねかねないような表現をしているサイトを見かけます。

以下のような表現です。

SIMフリースマホとは、ドコモやauソフトバンク楽天などの“キャリア”と呼ばれる通信事業者が提供する端末に対し、より安い価格で運用できるスマホを指します。

結局のところ「SIMフリースマホ」とは?格安スマホの賢い契約方法とプランの選び方|@DIME アットダイム

SIMフリースマホとは、NTTドコモソフトバンクKDDIau)などの大手通信事業者よりも安い通信料で利用できるスマホを指します。

SIMフリースマホとは?格安SIM、格安スマホの違いは?|AQUOS:シャープ

上記の表現は、いわゆる「格安スマホ」、「格安SIM」と呼ばれる「仮想移動体通信事業者MVNO)」と、MVNOで販売されているスマートフォンをごちゃまぜにしており、誤解を与えかねないような表現です。

SIMフリースマートフォンとは何か

SIMフリースマートフォン」とは、文字通りSIMロックがかかっていないスマートフォンのことを指します。

SIMロック」とは、特定の通信会社でしか動作しないようにロックをかけることで、NTTドコモKDDIソフトバンクといった大手通信キャリアが販売するスマートフォンには、このSIMロックがかかった状態となっており、例えば、ドコモが販売するスマートフォンKDDIのSIMを入れて通信させようとしても、SIMロックがかかっていると通信や通話ができません。

SIMフリースマートフォン*1」は、通信キャリアに縛られず、原則どの通信キャリアのSIMを入れても通信することが可能です。「原則」と書いたのは、稀にスマートフォンの対応周波数と通信キャリアの対応周波数が合わず、SIMフリースマートフォンでも通信できない場合があるからです。これについては後述します。

「広義の」SIMフリースマートフォンと「狭義の」SIMフリースマートフォン

SIMフリースマートフォン」という言い方をした場合、2種類のスマートフォンを指す場合があります。

通信キャリアが発売するスマートフォンで、SIMロックがかかっていないスマートフォン

通信キャリアが発売するスマートフォンには、SIMロックがかかっていないスマートフォンが存在する場合があります。ここで言う「通信キャリア」とは、ドコモ、auソフトバンクといった大手通信キャリアを指すのではなく、「UQ mobile」、「ワイモバイル」といった、いわゆるサブブランドや、「楽天モバイル」といった大手通信キャリアではない通信キャリアやMVNOなどです。

UQ mobileが発売するスマートフォンには、原則としてSIMロックがかかっておらず、SIMフリーの状態で発売されています。ただし、UQ mobileで発売されているスマートフォンは、原則UQ mobileが使用する電波(KDDIの電波)の周波数のみ対応しており、ドコモやソフトバンクSIMカードを挿して通信できるものの、通信エリアが極端に狭くなったり、高音質通話であるVoLTEが使えないという問題があります。

また、その通信キャリア特有のアプリがプリインストールされていたり、スマートフォン起動時に通信キャリアのロゴが出る、電話アプリや設定アプリが通信キャリアの設定にカスタマイズされていることが多いです。

さらに、大手通信キャリアで購入したスマートフォンを「SIMロック解除」したスマートフォンも存在します。この場合は、SIMロックがかかっていないため、どの通信キャリアのSIMを挿しても通信は事実上可能となります。ただし、前述したキャリアが販売するSIMフリースマートフォンと同様、特定の通信キャリアの周波数のみに対応している場合が多いので、通信エリアが狭くなったり、キャリア特有のアプリがプリインストールされていたり(アンインストールすらできないアプリもあります)と、通信キャリア特有の設定にカスタマイズされているため、「SIMフリー」とはなかなか言えないのではないかと考えます。

「広義のSIMフリースマートフォン」という場合は、このスマートフォンを指します。

スマートフォンメーカーが直接販売するスマートフォン

SIMフリースマートフォン」という場合は、こちらのスマートフォンを指す場合が多いです。

キャリアが発売するスマートフォンとは違い、家電量販店やメーカー直営店等で購入するスマートフォンです。また、MVNOが「再販」という形で発売している場合もあります。

これらのスマートフォンは、通信キャリアのカスタマイズが一切入っていないというのが最大の特徴で、メーカーのカスタマイズのみなされている形となります。

なので、起動時はメーカーのロゴのみが表示される、通信キャリア特有のプリインストールアプリは一切入っていない、通信キャリア特有の設定もされておらず、日本で発売されているスマートフォンは、原則として日本のすべての通信キャリアで通信、通話ができるようになっています。

さて、冒頭に引用した「SIMフリースマホは格安で運用できる」という表現、これは、

  1. スマートフォンメーカーが直接販売するスマートフォン」が「格安SIM」と呼ばれるMVNOで再販されていること
  2. 従来のような「スマートフォンの購入と通信契約を同時に結ぶ」ことを多くのユーザーがしていること
  3. このSIMフリースマートフォンの購入と通信契約を同時に結べるのはMVNOのみであること

この3つから来た表現であると考えられます。

ここまでSIMフリースマートフォンについて書いてきましたが、「スマートフォンメーカーが直接販売するスマートフォン」をMVNOではなく「ドコモ、auソフトバンクといった大手通信キャリアのSIMを挿して使う」ことは何ら問題なくできますし、その逆で「大手通信キャリアが発売しているSIMフリースマートフォン」を、「MVNOのSIMを挿して使う」ことも可能です。

SIMフリー」とはSIMロックがかかっているかどうかのことを指すのであって、「格安スマホとしてしか使えない」わけではないのです。

なぜSIMフリースマートフォンなのか

私は現在、SHARPが発売した「SH-M09」というSIMフリースマートフォンを、auSIMカードを挿して使用しています。

(狭義の)SIMフリースマートフォンは、海外メーカー(主に中国)が発売するスマートフォンが多く、NTTドコモKDDIソフトバンクが使用するすべての周波数には対応していないことが多く、3キャリアの主要な周波数(LTEであればBand1,3,8,18,19,26,41)のみ対応している場合が多いです(他、他国で使用する主要な周波数にも対応しています)。これは、通信できるものの、高速通信がしにくいというデメリットもあります。このことについては、本ブログで詳しく記載していますので、下記記事をご覧ください。

ただ、私が使用しているSH-M09については、KDDIソフトバンクの周波数についてはLTEに関してはすべて対応している数少ないスマートフォンです。

さて、大手通信キャリアの通信をSIMフリースマートフォンで行っている人は少なくないと思います。この最大の理由は、キャリアのプリインストールアプリやカスタマイズが一切入っていないこと。これに尽きると思います。

ドコモが発売するスマートフォンを何回か使用したことがありますが、ドコモのカスタマイズがいたる所に入っており、スマートフォン自体はいいものの、正直「使いたい」とは思えないレベルでした。これについては下記記事をご覧いただければ分かるかと思います。

ただ、キャリアが発売するスマートフォンでもメリットはあります。

通信がそのキャリアに最適化されているため、通信速度がSIMフリースマートフォンに比べて速いというメリットです。このことについては、5Gが始まった今顕著に現れており、ドコモが発売する5G対応のスマートフォンでドコモの5Gを通信させた場合、実測でも1Gbpsを超える速度が出る形です。

メーカーが直販するSIMフリースマートフォンは、通信キャリアの周波数に最適化されていないことが多いため、5G対応であってもここまでの速度はなかなか出ないのではないかと考えられます。

SIMフリースマートフォンの今後

電気通信事業法の改正や総務省ガイドライン改定により、今までキャリアでスマートフォンを買うとついてきた「月々サポート」ができなくなり、キャリアでスマートフォンを購入するのと、スマートフォンだけ別に購入するのとでは値段の差異がなくなりました。

これを受けて、今までキャリアのみに端末を供給してきたSONYが、XperiaSIMフリースマートフォンとして、メーカー直販として販売を開始することになりました。スマートフォンメーカー直営店があるSONYだからこそできた、SIMフリースマートフォンの直販ですが、実は日本にはもう1つ、スマートフォンメーカー直営店があります。

言うまでもなくSAMSUNGのGalaxyですが、こちらは一向にメーカー直販のSIMフリースマートフォンが出てくる気配がありません。

実はGalaxyの「メーカー直販のSIMフリースマートフォン」はないことはないのです。数量限定としてこの2台を出しています。

最初の「Galaxy Z Flip Thom Browne Edition」は約27万円、次の「Galaxy Z Fold2 Thom Browne Edition」はなんと約41万円という、一般的な人は手を出せないような価格です。どちらも数量限定となっており、今までこれらのスマホを使っている人は見たこともありません。

広義のSIMフリースマートフォンという意味で行くと、GalaxyにもSIMフリーモデルは存在します。UQ mobileJ:COMモバイルで発売されているGalaxy Aシリーズ、そして楽天モバイルで発売されているGalaxy S10、Note 10+、A7です。ただ、これらには通信キャリアのカスタマイズが入っており、日本で発売されているGalaxyは、ソフトバンクから発売されたGalaxy S6 edge、Galaxy Tab 4を除いてすべてソフトバンクのVoLTE、プラチナバンドと呼ばれるBand8には対応していません。

ここまで頑なに直販のSIMフリースマートフォンSAMSUNG JAPANが発売しないのには理由があるのでしょう。ただ、我々一般の人が知る由もないのが現状です。

多くの人は普通のGalaxyがSIMフリーとして出ているのを心待ちにしています。

XperiaSIMフリーとして直販された今、総務省ガイドラインで月々サポートが禁止された今、GalaxyもSシリーズがSIMフリーとして直販されることを心待ちにしたいと思います。

*1:SIMロックフリースマートフォン」という言い方をする場合もあります。個人的にはあまり好きではない言い方です。